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三陸に行ってきた [旅情報]

釜石(かまいし)から宮古(みやこ)まで走ってきた。

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釜石駅にて

東日本大震災(3.11)により、大きな被害を被った地域
というと、福島県を思い浮かべる方が多いと思われる。
しかしながら、死者数という点では、宮城県と岩手県の
2県が抜きん出ているのである。なかでも、三陸海岸沿い
の地区は多くの死者が出ている。いうまでもなく津波による
被害である。


2015年5月18日月曜日午後2時、私は釜石駅前にいた。
これから宮古まで、国道45号線を走ろうと思う。

釜石駅を出て、すぐに左折。甲子川(かっしがわ)を渡る。
さらに左折し、鳥谷坂(とやさか)トンネルをぬける。
やけに、ホコリっぽい。
土砂を満載したダンプカーがいっぱい走っているからである。
ダンプカーが集まっているところは、4メートルくらいの高さ
にまで土砂を積み上げている。さらに、ブルドーザーが
行ったり来たりして、上面を平らにしていた。

「ははあ、これがウワサの盛土
(もりど)ってやつか。」


盛土とは、土砂を積み上げて、土地を4メートルくらい、
かさ上げする工事である。2014年の夏ごろから本格的に
行われているのである。
東日本大震災のとき、このあたりでは10メートルを超える
津波がおそった。そうして流されてしまった地域を再建する
にあたって、盛土により土地を4メートルほどかさ上げして、
それから新しい家をつくろうというのである。

4メートルほどのかさ上げであるから、また10メートル
を超えるような津波が来たら、ひとたまりもない。
まあ、そんな津波はもう来ないだろう、という見通しにより、
4メートルとしているのであろう。


再び長いトンネルを抜けると、大槌町(おおつちちょう)であった。
町の現状をみて、さすがの私も声を失った。
大槌町は三陸地区のなかでも、とりわけ被害が大きかった
ところである。国道45号線から海側をみると、
町はそっくり流されていた。
いったい、どれほどの人が亡くなった
のだろう。




岩手県大槌町 津波の瞬間  撮影者:佐藤明広氏


大槌町では、およそ4年を経た現在でも、
新しい家はまったく建っていない。
現状では、巨大な盛土をつくっている段階である。
家を流されてしまった人たちはどうしているかというと、
現在もなお、仮設住宅に住んでいるのである。

正直いって、東京にいると東日本大震災のことなど
もう、忘れかけている。けれども、被災地の現状は、
まだ、こんな状況なのである。

大槌町をすぎ、山田町に入る。
国道46号線に並行して、JR山田線が走っているのだが、
現在もなお、復旧していない。線路は雑草でおおわれ、
ところどころに、大きな樹が生えていた。

被災地では、現在、高さ10メートルを超える堤防を
つくることを計画している。しかしながら、町がある
ということは、必ず、大きな川がある。ということで、
津波は川を遡ってきてしまう。
じっさい、上の動画をみると、はじめの段階で津波は
大槌川を遡り、まるで洪水のようなかたちになっている。
最終的には、海岸沿いの堤防をのりこえた津波が
一気に町を襲って、壊滅的な被害を与えているのだが。

川沿いにずっと、10メートル以上の堤防をつくるなんて
ことはほぼ不可能だから、河口に水門をつくるしかない。
しかしながら、河口に巨大な水門をつくるには、
巨額の費用がかかるうえ、自然破壊も大きい。

結局、完全な津波対策を構築するっていうことは
ムリゲーであり、どこかであきらめなければならない
のであろう。


さすがに暗い気持ちになってきた。
宮古の手前、旧津軽石駅があったあたりで、
三陸自動車道に入り、国道106号線を経由して、
盛岡にむかうことにした。



ということで、今回の記事のまとめであるが、
東日本大震災により、大きな被害を被り、多数の死者
をだした三陸海岸沿いの町は、現在でも、まったく
復興していない。やっと、その準備段階の盛土工事が
始まったばかりである。


私たちにできることで、最も重要なことは、
東日本大震災のことを忘れない、ということだと思われる。

今回の記事を読まれた方のなかには、
「人が不幸に遭った場所に行って、楽しいか?
最低のクズ野郎だな。」
とおっしゃる方も多いだろう。
とくに否定はしない。
じっさい、私自身もずっと三陸の状況を見てみたい、と
考えながら、行くのは不謹慎である、との思いもあり、
葛藤が続いていたのである。
が、今回、思い切って行ってみた。

私の旅は、「どんなところなのか、実際に自分の目で見てみる」
というのがメインテーマである。
もちろん、美しいものを見て、おいしいものを食べるのも
いいけれど、そんなことばっかりやってていいのか、
という気もする。きれいごとを語るばかりで、現実を
まったく見ようとしない人間は、社会の害悪でしかない。
そういう人間にならないためにも、きびしい現実に
目を向けなければいけないと思う。

なお、今回の旅で、私はほとんど写真を撮らなかった。
撮れなかった、といってもいいだろう。
大槌町の現状にご興味がある方は、Googleマップの
ストリートビュー機能などを使ってみていただければ、と思う。



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