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湧網線(ゆうもうせん)を走ってきた [旅情報]

旧国鉄の湧網線の廃線跡を走ってきた。


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湧網線 出所:JTB時刻表


湧網線とは、国鉄(日本国有鉄道)時代に存在した
鉄道路線であり、名寄本線の中湧別(なかゆうべつ)から
網走にいたる路線であった。1987年3月、慢性的な赤字
により、他の多くの北海道のローカル路線とともに
廃止された。

もう、30年ちかく昔の話であるが、
私はひそかに国鉄の全線完乗をめざしていた。
ひそかに、というのは、30才を超えた男にしては
あまりにも子どもじみたことをやっているので、
なるべく、人には話さないようにしていたからである。
私は国鉄全線の8割、距離にして1万6千キロほど
乗ったのだが、結局、全線完乗は達成できなかった。

その最大の障壁になったのは、北海道のローカル路線
である。東京からの距離があまりにも遠かったのと、
列車本数が極端に少なかったから。

湧網線は、北海道のローカル線の代表格であった。
湧別から網走という、ほとんど最果てともいえる地域
を走っているうえ、列車も1日5往復くらいしかなかった。
私は名寄本線、石北本線、釧網本線には乗ったものの、
湧網線には、結局、乗らずじまいだった。
景色がよいことで有名な路線だったので、
ぜひとも乗ってみたい、と思っていたのだが。



2016年6月9日午前6時、私は道の駅「かみゆうべつ温泉
チューリップの湯」にいた。
ここは湧網線の起点であった中湧別駅があったところ
である。今日はここから網走まで、なるべく湧網線の跡を
たどりながら、自転車で走ってみようと思う。

道の駅には、かつての中湧別駅の駅舎と駅名標などが
残っている。北海道には、鉄道の駅であったところが
現在は道の駅になっているところが多い。
この近くだと、興部(おこっぺ)もそうである。

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中湧別駅名標


しばらくは、国道238号線を走る。
芭露(ばろう)駅の旧駅舎は、かつて簡易宿泊所として
使われていたので、多くの自転車やオートバイの旅人
が訪れたものと思われる。が、現在は、「サポートセンター
ばろう」という、老人ホームらしき施設ができていた。

サロマ湖に出る。
私は国道からはなれて、月見ヶ浜道路にはいった。
この道は湧網線の廃線跡にできた道である。
サロマ湖沿いに走る区間であり、景色がよい区間であった。

計呂地(けろち)駅は、駅舎、ホームとも、
ほぼ完全なかたちで残っており、交通公園として
整備されていた。ホームには、C58型蒸気機関車と
客車が2両、保存されており、客車には宿泊する
ことができる。

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計呂地交通公園(湧別町)
http://www.town.yubetsu.lg.jp/50shisetsu/6nou-kankou/kerochikotsu.html


ここから湧網線の路盤は、はっきりしなくなった。
床丹(とこたん)駅はどこにあったのか、さっぱり
わからない。あきらめて、常呂(ところ)までスキップする。

常呂からは、いよいよ湧網線探訪のハイライトである。
湧網線の廃線跡が自転車道(オホーツクサイクリングロード)に
転換されているのである。ということで、自転車の旅人は、
およそ30kmにわたって、列車になったつもりで
湧網線の廃線跡を走ることができる。


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オホーツクサイクリングロード入口
出所:googlemaps

北海道Webページ内 自転車道の紹介



常呂駅の跡は、現在はバスターミナルになっている。
現在は、網走駅まで1日7往復のバスがあるうえ、
北見駅方面にも路線がある。湧網線があった時代よりも、
案外、便利なのかもしれない。

さらに自転車道を走る。
能取(のとろ)駅跡ではホームの残骸があったが、
雨が降ってきたので、カメラを出すのが億劫になり、
写真は撮らなかった。その先の駐車場でトイレ休憩をした。

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オホーツクサイクリングロード(旧湧網線廃線跡)


能取湖沿いを走る。
湖が見えて、景色がいいのかな、と思っていたのだが、
林のなかを走っているので、湖はほとんど見えなかった。

自転車道は、おおむね、きちんと整備されている。
が、路肩にフキだとか、巨大なイタドリといった雑草が
生い茂っており、道幅がせまくなっている。
もっとも、このフキと巨大なイタドリは、北海道のどこの
道路の路肩にも生えているのだけれども。


卯原内(うばらない)の駅跡に着いた。
ここも交通公園となっていて、9600型蒸気機関車と
客車が1両、保存されている。
9600型、通称キューロクである。
ボイラーの火室を大きく、動輪を小さくしたため、
独特の胴長短足のスタイルである。
機関車の大きさのわりに牽引力が強いので、
石炭などの長大貨物列車が多く、そのわりに線路が
貧弱だった北海道では、多くの9600型が活躍した。
北海道の人にとっては、9600型はなつかしい機関車
なのかもしれない。

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卯原内交通公園にある9600型蒸気機関車

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卯原内駅名標

9600型は、前述のようにあまりスタイルがよくないため、
鉄道マニアのあいだで人気がなく、
現在、走っている動態保存機がない。
そのため、9600型が実際に走っているのを見たこと
がある人は、私の世代よりも古い人だけであろう。
私自身は1972年に北九州に行ったとき、走っている
9600型を見ている。腰高で小さな動輪を一生懸命
まわしながら走る姿は、なんともいえずユーモラスであった。

卯原内からも、自転車道はさらに続いている。
湖眺橋(こちょうばし)という能取湖を一望するきれいな橋
をわたり、しばらく走ると、網走市街に入った。
大曲橋という橋をわたると、自転車道は終わる。
午後2時すぎに網走駅に着き、湧網線の旅は終わった。



ということで、今回の記事のまとめであるが、
湧網線は、景色がよいことで有名な路線であったが、
現在は、その多くが自転車道に転換されている。
ということで、自転車の旅人は、およそ30kmにわたって
ありし日の湧網線を偲びながら走ることができる。
ご興味がある方は、訪ねてみるのもいいかもしれない。



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